焼酎の蔵を見学できる、と聞いたとき、正直とても緊張しました。焼酎を店に並べて、その品数がどんどん減っていく現状を目の当たりにしていた今日この頃に、その貴重とされている焼酎を実際に造っている杜氏に会える、というのは、私にとってはものすごいドキドキ、だったのです。
9月26日、冷たい風が天気の良い空でも寒いと感じてしまう北海道の秋空。長袖一枚は必需品。天気予報で九州の気温は見ていましたが、やはりこっちは寒い。長袖で千歳空港を離れました。
鹿児島空港に2時間30分で着陸。外に出たとたんビックリ!暑い!気温32度!!北海道にして7,8月の真夏の気温にすぐさま半袖に取り替えちゃいました。
北の都札幌より鹿児島鹿屋に到着!初の鹿児島!緊張とともに1時間レンタカーで大海酒造へ!
桜島を小さく見つつ、車走らせ約1時間で着き、大牟禮杜氏が出迎えてくれました。素敵な笑顔で優しそう、だけどなんていったってあの海や海王、くじらを作るこだわりの杜氏だから、怖かったりするんだろうなあと思いなかなか緊張の取れない私達なのでした。大海酒造はとても大きく、広い敷地に何棟も連なる建物でした。ここであの《海》や《くじら》が造られているのです。ドアが開かれ中へ入ると芋なのか、モロミなのか・・・。初めて嗅ぐ香りに満ちていました。目の前にはベルトコンベアー。研究室を通り抜け、本日の寝室へ。なんと大牟禮杜氏の部屋でした。荷物を置き、これは旅行でも出張でもない、合宿なんだ、と思ったのでした。初日は着いたのが夕方だったので今日はそのまま夕飯!!の前に温泉へ連れて行ってもらいました。杜氏自ら近くのゆたか温泉へ道案内していただき、帰りは山下常務が待っていてくれました。なんて優しい、いや!まだまだ侮れない、明日お手伝いさせてもらうとき、スパルタに違いない!と思いつつ、その優しさがなんとなく信じがたいのでした。
でました、夕飯は刺身盛り合わせやオードブル、お鍋と超豪華で、中でも刺身で亀の手という甲羅のような殻に包まれた食べ物に私達は不思議に思い尋ねると、鹿児島の海の岩にへばりついている貝のようなもの、ということで食べてみると本当に貝のようで美味でした。つやつやしたきびなごのお刺身も九州ならでは。始めから九州を満喫でき、みんな大喜び。焼酎は味の違う4本のボトルを頂き、その一つ一つの味をテイスティングしながら頂きました。上圧と減圧の違いも理解し、九州本場の焼酎の飲み方も伝授されました。一般的に毎日の晩酌で飲まれる焼酎は、ほとんどがお湯割でその割合は8(お湯)対2(焼酎)。お店では5体5で出しているので、薄いのでは?と思いきや、いやいや匂いも味も十分あってまろやかでいて飲みやすく、この8対2にハマりそう!時をよくしてスイスイと何杯もいってしまうのでした。杜氏も常務もやっぱりよく飲む、サスガでした。一応、私達6人も酒豪揃いだったのでついていってはいましたが、量、スピードは負けていました。
宴は長く、そしてあれだけのお酒を飲んだにもかかわらず、あまり睡眠をとっていないメンバーが起きていられたのは話すこと全てが、楽しかったから。大牟禮杜氏と山下常務、平後園くん(平ちゃん)の話、私たちには全て新鮮で、私たちの愛する焼酎達を造り上げている方々に出会え、一緒に盃を交わし、語らえたことは、翌日からの仕事のヤル気へと現れたのでした。
宴の最中、20時、21時、0時30分、タンクの温度確認のため、宴部屋を出て行く杜氏と本日の遅番、平ちゃんを尻目にそれが気になっていた私たち6人は21時の点検時「見せてもらっていいですか?」と口を揃え、着いていきました。まともに嗅いだことのないサツマイモの匂いが充満する蔵には、芋洗い機、ベルトコンベアー、蒸し器、たくさんのタンク、蒸留機が。直に見れて感激です。手をキレイに洗ってタンクを見せてもらいました。
一時仕込み中のタンクは、温度25度から30度に保たれ、醪(もろみ)は、白っぽい色をしていてフワフワ、ブクブクと麹が浮かんでいました。同じ時期に仕込んだタンク二つでも麹の動きが違って、なぜ違うのかは、杜氏にもわからないそう。ブクブクという動きはまるで息をしているかのようで生きているという感じ。子供を育てるように焼酎を育てる杜氏はその成長が面白いといっていました。なるほど、生きている麹をみれば、なんだかずっと見ていたいと思ってしまうほど、私たちも気になってしまいました。ともあれ、0時30分の点検を過ぎるまで初日の宴は続いたのでした。明日は朝早くからお手伝いだというのに、こんなに飲んじゃって大丈夫でしょうか?
9月27日、昨日仕事を終え、一睡もしないまま飛行機に乗った者もいる中全員昨夜は杜氏と平ちゃんが最後の点検をする0時30分過ぎまで飲み続けたにもかかわらず、7時に朝食だから、という事前の連絡を忘れずわりとさっぱりと起床。焼酎はあとに残らなくて嬉しく思いました。杜氏の作ったおふくろの味、お味噌汁とお漬物、ご飯で、何だか調子の良い一日になりそうです。初の焼酎造り、お手伝いが始まります。
ジリジリと大きなベルが鳴ったのは9時。長靴とエプロンをつけて芋の皮削りが始まりました。初めて触る紅乙女と黄金千眼に感動する暇もなく、ベテランおばさん二人にさっと教えていただき、削り始めました。痛んでいるところだけを削るのは難しくて、どうしても良い部分まで削ってしまいがち。皮が美味しく焼酎を造っているのだと知るのは、もう少しあとでした。それでもこれであの美味しい焼酎が出来ると考えるとキレイにキレイに削りたい!と皮を丁寧に削っていたのでした。時間がどんどん過ぎ、丁寧にやるのも大事だけど、この芋の山。少しスピードアップをして10時30分に休憩です。休憩中はさっき削っていた2種の芋をふかしていただき食べました。味の違いがすごくあってビックリ。紅乙女の方が甘かったです。ほくほくでどちらも美味しかった!
休憩が終了しまたジリジリと鐘がなり慣れていない私達は時間できっちり動く従業員の方の動きに感心しながら着いていきました。お次はベルトコンベアーを流れる芋の仕分けです。ぺティナイフをもって痛んでいる芋を判別します。だんだんとやっていくうちにコツが掴めて自分の手の動きも早くなりました。それにしても大きいサツマイモ。そしてものすごい量。収穫も大変そうです。これだけたくさんの機械に囲まれ、衛生管理、温度管理された蔵、工場の中で、芋の傷みを人の目で判別されることに驚きました。そして人の手でひとつひとつ痛みを取り除いていくのです。昨日の杜氏や常務の焼酎を愛する気持ちを思い出し、みんな一心不乱に芋を判別していました。
時間は昼。杜氏に海の見えるレストランへ連れて行っていただき、一行は一路、焼酎を使う芋の生産者であるとっちゃんの畑へ出向きました。彼は大海酒造の契約農家なのだそう。とっちゃんの畑は広く、空は青く、芋の葉が濃い緑色に輝いていました。質の良い土を掘り芋を探します。一つ一つ大きな芋はすぐ見つかるが、掘っても掘ってもこれが抜けない。悔しいので奥深くまで汗をかきながら土を掘り続けました。先が折れるのももったいないので大切に芋を抜き、出てきたのは30センチくらいある大きな、そしてきれいな色の紅乙女と黄金千眼!!その感動は特別だったのでした。自分で抜いた芋はお持ち帰りさせていただき、貴重なお土産となりました。
今夜の宴はまえちゃんが遅番でお休みだった平ちゃんも最後の夜だったということで駆けつけてくれて疲れもあったけど、長い長い夜、またもやかなり楽しく過ごすことが出来たのでした。
翌日も芋切りを手伝い、私たちの大海酒造の合宿は幕を閉じました。
蔵元体験。
2004年、九州へ行ってまいりました。
初めての九州で、なおかつ焼酎の蔵元を見学できるとは、思いもせず。
かなり内容の濃い、研修となりました。見学させていただいたのは、
大海酒造・木場酒造・萬膳酒造です。様々な造り方でしたが、
美味しいものを造る!という心意気は、同じ。
このコラムの文章は、大海酒造のホームページと札幌の情報サイトでコラムとして
書かせていただいたものです。

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